キルギス出身のRIZINフェザー級王者ラジャブアリ・シェイドゥラエフ選手の入場曲が注目を集めています。その楽曲「アルガ・キルギスタン」の原題や歌詞の意味、選定理由、さらにはキルギス現地での評判まで、格闘技ファンなら知っておきたい情報を余すところなくお届けします。この記事を読めば、シェイドゥラエフ選手の入場シーンがより深く理解でき、その音楽に込められた祖国への想いを感じ取ることができるでしょう。
シェイドゥラエフ入場曲の原題は?
ラジャブアリ・シェイドゥラエフ選手がRIZINで使用している入場曲の原題は、キルギス語で「Алга Кыргызстан」(アルガ・キルギスタン)です。アーティストはアジズ・バトゥロフ(Азиз Батыров)が歌っており、キルギスの愛国的な楽曲として知られています。
この楽曲は実際にはキルギスの国歌ではありませんが、国を讃える内容で構成されており、キルギス人にとって特別な意味を持つ楽曲として親しまれています。RIZIN.47での初登場から一貫してこの楽曲を使用しており、格闘技ファンの間でも話題となっています。
興味深いことに、同じくキルギス出身でONEで活躍するアクバル・アブドゥラエフ選手も同じ楽曲を入場曲として使用していることが判明しており、キルギス出身の格闘家にとって特別な意味を持つ楽曲であることが分かります。
楽曲には前奏の付いたバージョンと前奏の無いバージョンの2種類が存在し、RIZIN.47やROAD FCでの入場時には前奏付きのバージョンが使用されていたと推測されています。この楽曲の選択は、シェイドゥラエフ選手の祖国愛を表現する重要な要素となっています。
楽曲の歌詞内容と日本語での意味
「アルガ・キルギスタン」の歌詞は、キルギスという国への深い愛情と誇りを表現した内容となっています。楽曲のタイトル「アルガ・キルギスタン」は、「前進せよ、キルギスタン」または「頑張れ、キルギスタン」という意味を持ちます。
歌詞の中では、キルギスの美しい自然、特にアラ・トー山脈(天山山脈)への言及が頻繁に見られます。「Ала-Тоо өлкөм Кыргызстан(アラ・トー・オルコム・キルギスタン)」という一節は「アラ・トーよ、我が国キルギスタン」と訳され、雄大な山々への畏敬の念が込められています。
楽曲のサビ部分では「Кыргызстан, алга Кыргызстан! Кыргызстан, жаша Кыргызстан!」と歌われており、これは「キルギスタン、前進せよキルギスタン!キルギスタン、永遠なれキルギスタン!」という意味になります。この部分は特に力強く歌われ、祖国の発展と繁栄への願いが込められています。
また歌詞には「Сен гүлдөп өсө бересиң(セン・グルドプ・オソ・ベレスィン)」という表現があり、これは「あなたは花のように美しく成長するでしょう」という意味で、キルギスの将来への希望と期待を表現しています。こうした歌詞の内容からも、シェイドゥラエフ選手がなぜこの楽曲を選んだのかが理解できるでしょう。
歌詞の内容要約・解説
以下では、Азиз Батыров(アジズ・バトゥロフ)による「Алга Кыргызстан」の歌詞を章ごとに要約し、その背景や象徴する意味を解説します。
全体テーマ
「Алга Кыргызстан」(アルガ・キルギスタン)は、祖国キルギスへの深い愛情と誇りを、壮大な自然描写と共に表現した愛国歌です。サビで繰り返される「Алга」(前進せよ)や「жаша」(永遠に栄えよ)などの呼びかけは、国の未来への希望と団結を力強く鼓舞します。
1番:自然と母国の賛歌
「Ала-Тоо өлкөм Кыргызстан, Ажайып көркөм Кыргызстан」
天山山脈(アラ・トー)に抱かれたキルギスを「驚くほど美しい国」と讃え、
「Укмуштун баары табылган, Уютку чөлкөм Кыргызстан」
「すべての妙なるものが見つかる安らぎの地」という比喩で、故郷の自然と文化の豊かさを描写しています。
「Кыргызстан, демим Кыргызстан, Кылымдык кебим Кыргызстан」
「心の息吹も、言葉もすべてキルギス」という表現で、国と自己が一体であることを示します。
「Беш күндүк өмүрүмдөгү, Бейишим менин Кыргызстан」
「この短い人生五日間のうち、私の天国はキルギスだ」と月日の比喩を用い、永遠の帰属意識を強調しています。
サビ:前進と繁栄の呼びかけ
「Кыргызстан, алга Кыргызстан! Кыргызсан, жаша Кыргызстан!」
「キルギスよ、前進せよ!永遠に栄えよ!」という、はっきりとした鼓舞の言葉。
「Сен гүлдөп өсө бересің, Кыз-уулуң барда, Кыргызстан!」
「あなたは花のように咲き誇る――息女や息子がいる限り」と続き、未来を担う子孫によって国がさらに繁栄することを願っています。
2番:母なる国と守護の誓い
「Эх, кандай кенен Кыргызстан, Экинчи энем Кыргызстан」
キルギスを「第二の母」と呼び、母性的な包容力を称賛。
「Туйлаган тулпар уулуңмун, Туу кармап берем, Кыргызстан」
「駿馬に例えられる息子として、国旗を高く掲げ守り続ける」という力強い決意表明です。
3番:伝統とさらなる飛躍
「Кыргызстан, өсчү Кыргызстан, Кыйла алга көччү, Кыргызстан」
「成長せよ、前へ進め」という継続的な発展への期待。
「Ак калпак элим байырлап, Ансайын көрктүү Кыргызстан」
伝統的な白い帽子(アク・カルパク)を被る国民を通じて、古くからの文化を誇りに思う気持ちを表します。
4番:幸福と独立国家の誇り
「Өзүнчө дүйнө Кыргызстан, Көрүнсүн көркүң жылдыздан」
「独自の世界をもち、その美しさを星のごとく輝かせよ」という詩的表現。
「Кубалап бакыт шаштырсын, Кут даарып күндө Кыргызстан」
「幸運と祝福が絶えず訪れんことを」と、国の幸福を祈念しています。
最後に再びアラ・トーと「独立国家キルギス」の称賛で締め括り、国土・伝統・未来への揺るがぬ愛を強調しています。
なぜこの楽曲を選んだのか?選定理由を考察
シェイドゥラエフ選手がこの楽曲を入場曲として選択した理由については、公式な発言は見つからないものの、いくつかの要因が考えられます。最も重要な理由は、祖国キルギスへの愛国心と誇りを世界に示したいという強い気持ちがあることでしょう。
キルギスという国は人口680万人の小さな中央アジアの国で、国際的な知名度はそれほど高くありません。シェイドゥラエフ選手のRIZINでの活躍は、キルギス初のRIZIN王者誕生という歴史的な快挙となり、愛する母国に新たな歴史を刻むことになりました。
格闘家の入場曲選択は、自分の個性や試合に対する意気込みを音楽で表現するため慎重に行われることが一般的です。シェイドゥラエフ選手の場合、この楽曲を通じて自身のルーツとアイデンティティを明確に示し、同時に祖国キルギスの存在を世界にアピールする意図があると考えられます。
興味深いことに、同じくキルギス出身のアクバル・アブドゥラエフ選手も同じ楽曲を使用していることから、この楽曲がキルギス出身格闘家にとって非公式の「戦闘歌」のような存在になっている可能性があります。これは単なる個人的な好みを超えて、キルギス格闘家としての連帯感や共通のアイデンティティを表現するものとして機能していると言えるでしょう。
また、シェイドゥラエフ選手の戦闘スタイルや人格を考慮すると、この楽曲の力強さと祖国への誇りに満ちた内容が、彼の闘志と完璧にマッチしていることも選択理由の一つと考えられます。
キルギス国歌との関係性
「アルガ・キルギスタン」とキルギス共和国の正式な国歌との関係について理解することで、この楽曲の位置づけがより明確になります。キルギス共和国の正式な国歌は「Кыргыз Республикасынын Мамлекеттик Гимни」(キルギス共和国国歌)で、1992年12月18日に制定されました。
現在のキルギス国歌は「Ак мөңгүлүү аска зоолор, талаалар(白い雪をかぶった高峰、大草原)」で始まり、「Алгалай бер, кыргыз эл, Азаттыктын жолунда(前進せよ、キルギスの民よ、自由への道を)」というサビが特徴的です。
面白いことに、シェイドゥラエフ選手の入場曲「アルガ・キルギスタン」と正式な国歌の両方に「アルガ(前進)」という単語が含まれており、これはキルギス人の精神性を表す重要なキーワードであることが分かります。
しかし、キルギス国歌については課題もあります。2025年にはサディル・ジャパロフ大統領主導で新しい国歌の公募が開始されており、現在の国歌が制定から30年以上経過し、歌詞の内容が現実を反映していないという意見があることが背景にあります。
このような状況の中で、「アルガ・キルギスタン」のような愛国的な楽曲が、非公式ながらも多くのキルギス人の心に響く「もう一つの国歌」として機能している可能性があります。シェイドゥラエフ選手がこの楽曲を選択したことも、そうした文脈で理解できるでしょう。
キルギス現地での反応と評判
シェイドゥラエフ選手の活躍とその入場曲に対するキルギス現地での反応は、非常に熱狂的で誇らしげなものとなっています。キルギス初のRIZIN王者誕生という歴史的快挙を成し遂げた後、シェイドゥラエフ選手はすぐにキルギスに凱旋し、現地で英雄的な歓迎を受けました。
特に印象的だったのは、シェイドゥラエフ選手がRIZINのチャンピオンベルトを大切に扱い、キルギスに持ち帰ってベルトを掲げる姿がSNSで大きな話題となったことです。車内からベルトを掲げる彼の写真は、キルギス国民にとって大きな誇りの象徴となりました。
キルギス国内では、シェイドゥラエフ選手の成功を「国の威信を高める偉業」として捉える声が多く聞かれます。人口680万人という小国キルギスから世界的な格闘技イベントで王者が誕生したことは、国民のナショナルプライドを大いに刺激しました。
また、彼の入場曲「アルガ・キルギスタン」についても、キルギス国内では「適切な選択」として高く評価されています。この楽曲を通じて、世界中の視聴者にキルギスの存在とその文化を知らしめることができたという点で、文化的な意義も大きいと受け止められています。
シェイドゥラエフ選手の謙虚な人柄も現地で好評を博しており、「金ないからすぐにキルギス帰る」という彼の飾らない発言は、多くのキルギス人の共感を呼んでいます。こうした等身大の姿勢が、国民からの愛される理由の一つとなっているのでしょう。
キルギス音楽文化における位置づけ
「アルガ・キルギスタン」がキルギスの音楽文化の中でどのような位置を占めているかを理解するためには、キルギスの音楽的背景を知る必要があります。キルギスの音楽は遊牧民的もしくは農村部の素朴さを残しており、トルクメニスタンやカザフスタンの民族音楽と密接な関係があります。
伝統的なキルギス音楽の特徴として、長く尾を引くようなピッチがありますが、同時にロシア民族音楽的な要素も取り入れられています。「アルガ・キルギスタン」も、こうした伝統的な要素と現代的な愛国精神が融合した楽曲として位置づけることができます。
キルギスの国民的楽器であるコムズは、たいていのキルギス家庭にある楽器で、重要な行事や国家的なコンサートでも好んで演奏されます。「アルガ・キルギスタン」のような楽曲も、こうした伝統楽器での演奏が可能な構造を持っており、キルギス人にとって親しみやすい音楽となっています。
また、キルギスの音楽文化にはシャーマン的な要素も残っており、音楽が人々の心に深く響く力を持っているとされています。「アルガ・キルギスタン」がキルギス人の心を強く揺さぶる理由も、こうした文化的背景と関係していると考えられます。
近年のキルギスでは、Z-POPと呼ばれる現代的なポップスも人気を集めていますが、一方で「アルガ・キルギスタン」のような愛国的で伝統的な価値観を重視する楽曲も根強い支持を得ています。これは、キルギス人のアイデンティティの多様性を表していると言えるでしょう。
他のキルギス出身格闘家との比較
シェイドゥラエフ選手の入場曲選択を理解するためには、他のキルギス出身格闘家の動向も参考になります。前述の通り、ONEで活躍するアクバル・アブドゥラエフ選手も同じ「アルガ・キルギスタン」を入場曲として使用していることが確認されています。
これは偶然の一致ではなく、キルギス出身格闘家にとってこの楽曲が共通のアイデンティティを表現する手段として機能していることを示しています。両選手ともに世界的な舞台で活躍する中で、祖国キルギスへの愛情を音楽を通じて表現しているのです。
また、注目すべき点として、近年中央アジア出身の格闘家の躍進が目立っていることが挙げられます。シェイドゥラエフ選手と同様にRIZINで活躍するカザフスタン出身のカルシャガ・ダウトベック選手の存在も、この地域出身格闘家の実力の高さを物語っています。
シェイドゥラエフ選手は、中央アジア勢の躍進について「大自然の中で高地トレーニングをやっているから」「食生活もノンケミカルで、添加物ゼロ。オーガニックな料理を口にして、新鮮な空気を吸っているから」と分析しています。この発言からも、彼らの強さの根源が自然環境と伝統的な生活様式にあることが分かります。
キルギス出身格闘家たちの入場曲選択も、こうした自然環境や伝統文化への誇りと密接に関連していると考えられます。「アルガ・キルギスタン」のような楽曲は、単なる音楽を超えて、彼らのルーツと価値観を世界に発信する重要なツールとして機能しているのです。
楽曲の国際的な影響と認知度
シェイドゥラエフ選手の活躍により、「アルガ・キルギスタン」は国際的な注目を集めるようになりました。RIZIN.47での初登場以降、この楽曲は格闘技ファンの間で話題となり、YouTubeでの検索数や再生数が増加しています。
特に印象的なのは、日本の格闘技ファンがこの楽曲に強い関心を示していることです。YouTubeには「【シェイドゥラエフ入場曲】RIZIN Razhabali」といったタイトルで楽曲を紹介する動画が投稿され、多くの視聴者から反響を得ています。
この現象は、格闘技を通じた文化交流の好例と言えるでしょう。多くの日本人が初めてキルギスの音楽に触れる機会となり、同時にキルギスという国への関心も高まっています。
また、楽曲の国際的な認知度向上は、キルギスの「ソフトパワー」向上にも貢献しています。近年、中央アジアではキルギスのYouTuberグループ「Dビリオンズ」が国際的な成功を収めるなど、文化的な発信力が注目されており、「アルガ・キルギスタン」もその一環として位置づけることができます。
格闘技イベントでの入場曲は、選手の個性を表現するだけでなく、その国や文化を世界に紹介する窓口としても機能します。シェイドゥラエフ選手の場合、この楽曲を通じてキルギスの存在感を世界に示すことに成功していると言えるでしょう。
「Кыргызмын мен」もシェイドゥラエフ選手の入場曲に
ラジャブアリ・シェイドゥラエフ選手は、これまで愛国的な歌「Алга Кыргызстан」を入場曲として使用してきましたが、2025年5月のRIZIN男祭り(東京ドーム大会)では、Данияр Эрматов(ダニヤル・エルマトフ)による「Кыргызмын мен(私はキルギス人)」も入場曲として採用されました。
両曲を場面に応じて使い分けることで、故郷への誇りと自身のアイデンティティをさらに強調しています。
「Кыргызмын мен」の概要と歌詞のテーマ
「Кыргызмын мен」は、Данияр Эрматовが作詞・作曲を手がけたポップ調の楽曲で、タイトルの「私はキルギス人だ」という宣言とともに、キルギス人としての誇りや連帯感をストレートに歌い上げています。サビでは繰り返し「Кыргызмын мен」とコーラスが重なり、観客に大きな一体感を生み出します。
入場演出への効果
「Кыргызмын мен」は前奏が短くリズミカルなビートで始まるため、入場シーンでの高揚感や観客との共鳴効果が高い曲です。力強い歌詞とともに選手がリングに歩みを進める演出は、「Алга Кыргызстан」では表現しきれないダイナミックな盛り上がりを生み出し、観客の心を一気に掴みます。
選曲背景の考察
シェイドゥラエフ選手が「Кыргызмын мен」を選んだ理由としては、自身の国民的アイデンティティをよりストレートに伝えたい意図があると考えられます。「Алга Кыргызстан」の祖国賛歌的な荘重さと対照的に、「Кыргызмын мен」は親しみやすいポップサウンドで幅広い層に訴求できる点が魅力です。また、大会ごとに使い分けることで、選手自身の多面的なルーツやメッセージを演出面で表現する狙いがあると推測されます。
まとめ
シェイドゥラエフ選手の入場曲「アルガ・キルギスタン」は、単なる音楽以上の意味を持つ重要な文化的象徴です。この楽曲には祖国キルギスへの深い愛情と誇りが込められており、「前進せよ、キルギスタン」という力強いメッセージが世界に響いています。
キルギス現地での熱狂的な反応と、同国出身格闘家による共通使用という事実は、この楽曲がキルギス人のアイデンティティを表現する重要な手段となっていることを示しています。また、国際的な認知度向上により、格闘技を通じた文化交流の新たな可能性も見えてきました。
シェイドゥラエフ選手の今後の活躍とともに、この楽曲がどのような広がりを見せるかにも注目が集まります。格闘技ファンにとっては、入場シーンをより深く理解し、選手の背景にある文化や想いを感じ取る貴重な機会となるでしょう。
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